海へ散骨するなどの自然葬について

自然葬とは

自然葬とは、遺骨を墓地などに納めるのではなく、山、海や土などの自然に還す葬儀です。自然葬は、死後は大自然の循環に還ろうという考えがもとになっています。海へ散骨する海洋散骨を含めた自然葬は、土地整備や森林伐採などがないため、自然に還るだけでなく、自然にも優しいという点も挙げられます。

 

広義な自然葬

風葬、鳥葬、水葬、火葬、土葬、樹木葬、冷凍葬など、自然に還る葬りや弔い方を広く指す場合もあります。広義な自然葬の種類についてまずは見てみましょう。

 

広義な自然葬の種類

 

水葬

水葬は遺体を海や川に沈める方法です。日本では刑法190条で死体遺棄罪に該当し認められていません。例外として、船員法15条に基づいて、船舶の航行中に船内の人間が死亡した時に、下記条件を全て満たせば船長の権限で水葬を行える場合があります。

(船員法施行規則第15条、第16条)

  • 死亡後24時間経過したこと(伝染病以外)
  • 衛生上、船内に死体を保存できないこと。(ただし、船舶が死体を載せて入港することを禁止された港に入港しようとするときその他正当の事由があるときを除く)
  • 医師の乗り組む船舶にあっては、医師が死亡診断書を作成したこと。
  • 伝染病によって死亡したときは、十分な消毒を行ったこと。
  • 本人写真の撮影、遺髪、遺品の保管をし、遺体が浮き上がらない処置を講じた上で相当の儀礼をもって行うこと。

 

海外ではインドで、ヒンズー教の儀式として水葬が行われています。ガンジス川の岸辺で火葬されたあと遺灰が流されるのが一般的ですが、金銭的理由により遺体のまま流す場合もあります。また海外でも洋上での死者や海上での犠牲者に対して運搬が困難な場合に水葬が行われます。

 

土葬

遺体を火葬せず、埋葬します。直接遺体を土に埋葬する方法と、棺に入れて埋葬する方法があります。キリスト教、イスラム教、儒教など火葬に対して否定的な宗教も多く、宗教的な理由から土葬が行われることもあります。現在日本では火葬が99%以上を占めており、土葬はほぼ行われていませんが、もし行う場合は故人の死亡届を提出した市町村の土葬許可証が必要になります。

 

鳥葬

肉体と霊魂は鳥に食べられて天に運ばれると信じられていることから、現在もインドのゾロアスター教やチベットのラマ教やボン教などで行われている鳥に遺体を委ねる葬儀です。

 

風葬

遺体を埋めず、森林,洞窟内などに放置し自然に風化させる葬法です。日本でも過去に沖縄や宮古島などで行われていました。

 

現在の日本における自然葬(散骨)

現在の日本における自然葬は、火葬された遺骨を自然に還す意味合いがあるため、散骨と樹木葬を指す場合が多くなっています。欧米では日本と火葬をする温度が異なり、遺骨は原型を留めない遺灰になり家族の元へ返されるので、宗教や法律で規制がない場合、遺灰は海や山などに撒かれています。

 

 

日本での自然葬の歴史

日本での自然葬の歴史は、840年に淳和天皇が遺言して実行されたとあります。薪を使うため、高価であった火葬ができなかった庶民は、江戸時代中期まで野捨てなどの自然葬が一般的でしたが、江戸時代の寺檀制度による、墓の定着と共に自然葬は衰退していきました。1884年に制定された「墓地及埋葬取締規則」以降、墓地以外での遺骨・遺灰が埋葬できなくなり、自然葬はNGという解釈がこの頃、一般化しました。

新たに始まった自然葬(散骨)の歴史は浅く、「墓地埋葬等に関する法律」について、遺骨を撒く行為は埋葬・埋蔵いずれにも該当せず、葬送として節度を持って行われる限り散骨は、刑法190条「遺骨遺棄罪」に触れないという見解を法務省が1991年に出してから現在までの28年ほどです。現在の法律では散骨は合法というよりは想定していなかった、違法ではない葬儀と位置付けられています。

 

自然葬(散骨)を望む人が増えている理由

自然葬(散骨)を望む人が増えている理由は、死んだら自然に還りたいと考えている方や、暗くて狭いお墓には入りたくないと考えている方などの個人的思考からの場合と、少子化、高齢化、核家族化など社会的な背景からの場合があります。主なものを挙げると

  • 故郷と住まいが離れていてお墓の維持の負担が大きい
  • お墓を相続する人がいない
  • 転勤や核家族化でお墓の維持が期待できない
  • 独身で実家の墓にも入れない

などがあります。

 

古来から行われてきた自然葬ですが、江戸時代から始まったお墓の文化が現在では定着し、自然葬についてまだまだ一般的だとは言えない状況です。しかし自然葬(散骨)を望む人が増えてきてることも事実です。散骨を想定した法律の整備が進み、人々の認識もより深まって、日本の葬法の一つとして、確率することを望みたいものです。

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